2017年01月 暗闇が人を繋ぐのです

皆さん、ご存知でしょうか? 今、巷でヒタヒタと足音を鳴らし近づいているイベントを。 暗闇が人の感覚を研ぎ澄まし、暗闇が人の心を解放し、新たな感覚、新たな感情を呼び起こすイベントを。

その名も「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

一切の光が遮断された空間で、見知らぬ人とグループを組み、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより、施された仕掛けの中を探検し、様々なシーンを体験する。 その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します。

そんな触れ込みのイベントでした。実際にどんなことを行うのか、コミュニケーションをうまく取れるのか。アラフォー4人組は、まさに不安と期待で胸を膨らませ会場へと向かいました。外苑前をほどなく歩き、人影もまばらになった辺りにその場所はひっそりと現れました。

グループを組む他の人たちとご対面し、スタッフさんにからイベント前の説明を受けます。 この時の心境を分かりやすく言うならば、TDLやUSJで初めてのアトラクションに向かう感じですね。

さあ、いよいよアテンドの人についてイベント開始です。最初のスペースで白杖の使い方を聞いて、次のスペースでみんなのニックネームを決めました。スペースが変わるごとに光量を落とし、徐々に暗闇に眼を慣らしながら進んでいきます。最後のスペースで本当の暗闇にご対面です。5分経てばうっすら見えてくるような暗闇ではありません。1cm先すら見えないのです。

「小さな段差があるよ。気を付けて」
「あ、足元が砂利に変わったよ」
「あれ、この手は誰の手?花ちゃん?」
「違う。ゆみの手」

多くの言葉が飛び交います。それらは不安を解消するためというより、他人の為に発する言葉でした。思いやりから生まれた言葉です。 不思議でした。初対面の人と会話する際の垣根は、暗闇が無くしてくれました。 垣根は自分の為に作り出すもので、言葉は他人の為に発するもの。 全員がどちらを優先すべきか天秤にかけるまでもないことを分かっていました。 暗闇の中で、参拝し、買い物をし、お茶を飲み、とめどなく会話する。 すると次第に、見えてくるんです。いや、実際には全く見えません。見えていると感じてくるんです。

大切なことは見ることではないんですね。感じることなんですね。 視覚に頼って取りこぼしている情報や感情、思いやり。でもそれに気づくことは、見ることが当たり前になっている我々にはかなり難しい事なんだと自覚しました。

時間にして90分程度の未知なる体験は、あっという間に終わりました。 性別、年齢、職業それらの違いや肩書は全て溶け落ちて、まるで幼稚園の頃に戻った感覚でした。 私達も「たまちゃん、なおちゃん」と何度ちゃん付けで呼び合った事か。気恥ずかしいのは最初だけでしたね。 終わった後の感想を一言で表すならば「心地いい!」 都会の中で暗闇の森林浴をしたかのようでした。 スタッフの方々が醸し出す雰囲気も見事なぐらい心地よい! 猫バスに乗った時と同じぐらい心地よかったです。 まあ、乗ったことないですけど。猫バス。

最後に暗闇の中の書初め作品をお見せします。硯に指を突っ込みながら書いた字です。一応「信」です。 皮肉なもんで、こんなイベントの最中に書いてるくせに、人と言葉が離れてる離れてる。

イベント後、我々は一杯飲みながら「楽しかったね。来てよかったね。etc...」とイベントを肴に、さらに盛り上がったのは言うまでもありません。家族、恋人、友達、同僚。どんな人といっても素敵な体験が出来ると思いますので、是非体験してみて下さい。

戻る↑ PAGE TOP